モノクロフィルムのススメ

これまでカラーネガフィルムの魅力を伝えてきましたが、フィルムカメラを始めたら是非モノクロフィルムを使って欲しいです。

デジタルモノクロ

モノクロなら発色関係ないからデジタルでも同じじゃないの、と思われますが、デジタルのモノクロ写真は、RAW画像をモノクロ化しているだけです。元は例の出来損ないカラー画像です。

カラーをモノクロ化したことがあればわかりますが、そのプロセスは何種類もあり、RGBの平均値をとって合成したり、彩度を下げたり、あるいはRGBいずれかの色要素を主として変換することができます。色々できますが、いずれもモノクロフィルムで撮られたものとはすこし違います。

純粋な光の強さを記録するモノクロ写真が撮れるデジタルカメラはLeica MMだけです。本体だけで100万近くする超高級品です。

自家現像

モノクロフィルムの醍醐味は、自分で現像することです。

現像液や定着液も普通に手に入りますし、ダークバッグという手を突っ込んで作業する袋があれば大げさな暗室なんか要りません。自分で撮ったフィルムを自分で現像し、水洗いしたリールから現像されたフィルムを抜き取るときの全身の毛穴が開くような脳汁黒部ダムを味わって欲しいです。

 

自家現像の道具や方法については、「モノクロフィルムの自家現像・道具編」と「手順編」で私のレシピを紹介します。よくわかってないド素人でもできたので心配ありません。

自家現像は難しそうで無理、という方でも、カラーネガフィルム同様にDPEに出せば現像できます。

モノクロフィルムの面白さ

白黒の世界だけで構成された色のない世界ですから、カラー>モノクロ、と考えがちですが、カラーとモノクロは別物です。常に光景を総て記録しようとするデジタルと異なり、モノクロフィルムは「みえないところはみえない」ものとして描きます。故意に無理な設定をしない限り、マニュアルカメラは夜の街を闇に覆われた夜の風景として撮影します。

初めてモノクロフィルムに触れた方は、是非夜の街へ出かけてください。絞りは常に開放側で、シャッター速度は1/60に固定すれば、設定のことは忘れて好きなものを撮ることに集中できます。そして、モノクロフィルムで撮られた夜の風景は驚くほど魅惑的なことに気づくでしょう。

粒子の美しいモノクロフィルムもありますが、ISO感度が高く粒子の荒いフィルムを使うことで、デジタルでは再現の難しい粒状感を出すこともできます。それはノイズではなく、筆のタッチのようなものです。

銀塩写真の一番美味しい深部

モノクロフィルムはまとめ買いして自家現像すれば比較的安く済むため、フィルム初心者にも向いています。高価なカラーネガを装填したままシャッターに躊躇して撮り終えるのに何ヶ月もかかるくらいなら、モノクロフィルムでパシャパシャ撮りまくる方がいいです。それでいて、フィルムの醍醐味も味わうことが出来ます。

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モノクロ写真の面白さは人によって異なるようです。
記憶の中の色を思い起こさせる、ノスタルジーが強調される、色を想像する懐があるなど様々ですが、一口に表現できないくらい多様な面白さが詰まった写真であることは間違いありません。

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