初めてカメラを購入するとき、一番悩んでしまうのはカメラの種類の多さです。
フィルムカメラにはNikon FM10のような新機種も存在しますし、これまでの長い歴史のなかで作られてきた中古カメラはもっとたくさんあります。フィルムのサイズまで持ち出せば、35mm、中判、大判、ハーフサイズカメラなど様々です。
選択肢をどっと与えると混乱してしまうだけですから、お勧めのカメラについて選択肢を絞りましょう。
35mm、マニュアルカメラ、レンズ交換式
35mmフィルムは入手しやすく比較的安価です。マニュアルカメラであれば電子部品はほとんどありませんから、今後使い続けても簡単に壊れることがありません。また、レンズ交換式のカメラでなければいけないわけではありませんが、フィルムコンパクトカメラのレンズは暗くて、あまり使いやすいとは言えません。
選べるタイプは一眼レフかレンジファインダー機の二種類です。
フィルム一眼レフおすすめ機
前者は一般的なデジイチと同じで、アタマの部分にプリズムが入っていて、これがレンズから入ってきた光をファインダーに結像します。初心者はこれが最も使いやすいでしょう。
Nikon FM10
新品で手に入ってサポートも効いている数少ないフィルム一眼。新品なだけにすこし高いです。フォルムはそれほどゴツゴツしていないので、女性にもお勧めです。
機械面で不安を感じたくない、あるいは中古品を探す手間をかけたくない方はこれがいいです。Nikon製品ですから頑丈です。
価格:65,610円 |
Nikon F
Nikonフィルムカメラの名機です。
個体数がやや減ってきて、FM10と同じくらいの価格帯です。巻き上げの滑らかさはLeicaM3に匹敵します。状態がどうなっているかわからないので、必ずお店で手にとって確認する必要があります。
PENTAX KX
ネットではデジタルのK-Xがたくさん引っかかってまだあるのかわかりませんが、店頭ではよく見かけます。
PENTAX機はわりとコンパクトで軽く使いやすいのですが、SPなどは流石に古すぎて状態のわからないものが多いですから、KXくらいの世代のものが無難です。
シャッター音が独特でかわいらしく、比較的コンパクトなので大きなカメラを躊躇する方にもオススメです。
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レンジファインダーおすすめ機
後者はデジタルで言うとミラーレスに近いのですが、測距儀という独立したファインダーがついていて、その中の二重像を合わせることでフォーカスを決める独特な機構を持っています。この測距儀は戦艦の主砲などにもついていて、大日本帝国海軍の軍艦は大日本光学、いまのニコンが作っていました。ですからニコンのカメラは今でもめちゃくちゃ頑丈にできているんですね。
Bessa R3M
Leicaほど高価ではなく、未だに新品が入手できて、ガシガシ使えるレンジファインダーはCOSINAが育ててきたブランドVoigtlanderが販売しているBessaのR3M。
LeicaのMレンズが使用でき、ファインダー倍率も脅威のx1.0です。初めてレンジファインダーカメラに触れる人にとって、「両目を開いてカメラを構えると宙にブライトフレームが浮かぶ」という体験は貴重なものです。
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Leica M6
レンジファインダー機は選択肢があまりありません。
まずLeica以外のレンジファインダー機は肝心のファインダーがちょっと見づらいものが多いです。その割にNikonSPなどはコレクターアイテムになっていますから、驚くような価格がついていることがあります。またM3やM4は選ぶのに知識と根気と時間がかかりますから、最初の一台目には向いていません。M6であれば、ある程度新しい個体が多く、機器としての完成度も高く、所有感も満たされるでしょう。
腐ってもLeicaですから安くはないです。20万前後はみたほうがいいかもしれません。
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なぜマニュアルカメラか?
まず第一に自動化されたフィルムカメラを使う意義が私個人にはよくわかりません。今はデジタルから入った人が多いので、フルオートなフィルムカメラも中古市場が賑わっているそうですが、サポートも切れてますし、長く使い続けるにはちょっと不安です。なにより自動であれこれ決められると、フィルム写真の面白さは半減してしまいます。
マニュアルカメラを使う手続きはざっくり次の通りです。
- 構図を決めます。カメラは構えず、フィルムは巻き上げます。
- 装填しているフィルムに適した露出を設定します。
- 焦点を合わせます。ここでカメラを構えても構いませんが、構えずにレンズの距離計でざっくり合わせてしまうのも一つの技巧です。その場合、構えてから微調整します。
- シャッターを切ります。
この一連の所作がマニュアルカメラの面白さです。フィルムの巻き上げのタイミングは人によって異なり、昔から使っている人はシャッターを切った後に必ず巻き上げて次に備えるのですが、私は間違ってシャッターボタンを押してしまいそうなので、撮る前に巻き上げます。前者はシャッターチャンスを逃さず、後者はミスをしません。こういう運用法を考えるのも楽しみのひとつです。
ここで難しそうなのは「露出を決める」という工程ですが、それほど敷居は高くありません。理解できると、様々な場面で露出を自在にコントロールでき、仕上がりに大きく影響できます。デジタルカメラはグレー18%という一定の明るさを強制するように設計されており、それを補正するために「露出補正」という特殊な操作を必要とします。あるいはオートブラケットという特殊な撮影法があります。すべてを自動化したことで特有の操作が上積みされているのです。
フィルムには露出補正などありませんから、その場その場で毎回露出をコントロールします。そうやって苦心して撮った一枚には、たとえ失敗だったにせよ、愛着が湧くものです。