フィルムカメラを購入するとなったとき、何が必要になるでしょうか?
レンズ交換式一眼レフを買うとして、カメラ本体を買っただけでは写真は撮影できません。ここでは、フィルムカメラ初心者が最初に買うべき必須アイテムについて概要を説明します。それぞれの道具についての細かい説明は、別のページを参照してください。
カメラ本体
まずは最初にカメラ本体を選びます。
選んだ本体によって、装填できるレンズの種類が決まります。フィルムカメラ本体は、撮影できる写真の品質にはあまり関係がありませんから、サイズや重さ、操作感、デザインを重視して決めます。中古で非常に安価なカメラもありますが、巻き上げが硬かったり、手に持った感触が安っぽかったり、フィルムの装填が難しかったり、問題を抱えていることが多くあります。かと言って、高ければ良いというものでもありません。
オートフォーカスやフィルムの自動巻き上げ機能、自動露出を備えたフィルムカメラもありますが、このサイトではマニュアルカメラをお勧めします。写真撮影の手間を自動化することで撮影は簡単になりますが、写真の面白さは大きくスポイルされることになるからです。
交換レンズ
カメラ本体が決定すれば、そのメーカーによって交換レンズの種類が決まります。
この交換レンズと本体を接合する機構のことを「レンズマウント」と呼び、本体の種類によってマウントの種類が変わります。例えば、キヤノンの一眼レフであればEFマウント、ニコンの一眼レフであればFマウント、ペンタックスであればKマウント、ライカであればMマウント…。購入するカメラ本体のマウントの種類を事前に調べ、適合するマウントのレンズを選択してください。
デジタル一眼の時代になっても、このマウント機構はあまり更新されていませんから、デジタルカメラでフィルム時代のマニュアルレンズを装着することは可能ですが、逆にデジタル一眼用のレンズをフィルムカメラに装着しても使えません。
交換レンズには焦点距離というものがあり、その値が小さいほど広角(広い範囲を撮れる)、大きいほど望遠(狭い範囲を撮れる)になります。最も標準的な焦点距離は50mmで、人間が目で見た光景に一番近いと言われています。50mmを基準として、小さい焦点距離、例えば35mmや24mmなどのレンズは広角で、広い範囲を撮影することができ、70mmなどは中望遠、100mm〜300mmなどの望遠では狭い範囲すなわち望遠撮影ができます。
初めて購入するレンズは50mmかそれに近いものを選択すべきでしょう。
初心者はズームレンズを欲しがるかもしれませんが、ズームレンズの操作は難しく、焦点距離ごとの撮影方法に精通して初めて意味を成すものですから、最初の選択としてはおすすめできません。
フィルム
カメラ本体とレンズだけでは、フィルムカメラは写真を撮影することはできません。フィルムカメラには文字通りフィルムが必要です。
写真撮影用の35mmフィルムはカメラ専門店や量販店に売られています。近年では売り場スペースがみるみる小さくなっていますから、ネットで探すのもひとつの方法です。
フィルムは一本で10〜36枚撮影できるものがあり、24枚撮りと36枚撮りが一般的です。いずれも現像代は同じですから、36枚撮りを選んだほうが良いでしょう。
フィルムは大別して
- カラーネガフィルム
- モノクロネガフィルム
- リバーサルフィルム(ポジフィルム)
の3種類があります。予めモノクロフィルムで撮影したいといった明確な目的がなければ、最初はカラーネガフィルムを選ぶと良いでしょう。
カラーネガフィルムにも多くの選択肢があります。最初にどれを選んでいいかわからないときは、比較的多く使われている国内メーカーFujifilmのフィルムや、Kodakの少し高価なフィルムを選ぶのが無難です。
ドライボックス
本体、レンズ、フィルムが揃ったら、すぐに撮影を始めることができます。しかし、購入したフィルムカメラやフィルム自体をどこに保管するのでしょうか?
棚の上や机の上、直射日光の当たる場所や湿気でジメジメする場所にフィルムカメラを置いておくと、装填したフィルムが痛み、カメラ本体やレンズにカビが生えることがあります。これはデジカメでも同じことだと思われますが、カメラにとってカビは大敵です。とくにレンズにカビの菌糸が伸びてしまうと、最悪分解研磨することになります。
これを避けるために、ドライボックスというプラスチックのケースを使います。
カメラ本体と交換レンズ、数本のフィルムが十分に収まるサイズと個数のドライボックスを購入し、その中に入れておく乾燥剤も一緒に買います。
いずれもそれほど高価なものではありませんから「あとで買う」と言わずに最初に買っておいてください。
アルバムないしスキャナ
フィルムカメラで撮影した写真をどのように保管し、鑑賞するでしょうか?
多くの人は現像時に同時プリントをお願いすると思います。その場合は、プリントされたL版写真を入れるアルバムを買っておくべきです。それも同じサイズのものを数冊。
写真アルバムはものによって大きさが異なり、短期間で生産終了するものもあります。最初のアルバムがいっぱいになってから、アルバムを買い足そうとするとすでに販売を終了しているかもしれません。
フィルム写真をパソコンに取り込んで鑑賞したり、ブログに掲載したいと考える方も少なくありません。お店でデータ化してくれるサービスもありますが、結構高額な上に自動調整されているせいで、明るすぎたり色が強すぎたり、撮影した人の意図と違う状態で納品されることもしばしばです。
それならスキャナで自分で取り込んでしまえばいいのです。
フラットベッド式の一般的な家庭用スキャナでも、フィルムスキャン用の道具があれば取り込むことができます。フィルム専用のスキャナとしてはドイツ製のOpticfilmシリーズがあります。スキャン速度は遅く、付属ソフトも使いづらいのですが、おそらくフィルムスキャナとしての品質は最も高いと言えます。型落ち品なら比較的安価に手に入ります。