中古レンズのススメ

買うカメラを決めたら次はレンズです。

レンズはカメラ本体より遥かに種類が多く、一度ハマると抜け出せなくなるレンズ沼というマニアックな世界もあります。
初めてカメラレンズの商品棚を目にした時、その値段に驚きます。安いレンズでも数万、高いものになると数十万、倉庫のような場末の中古カメラ店に百万超えのレンズがケースにぽんと載せられてることも珍しくありません。しかし、不思議なものです。
初めてみたとき6万のレンズを高価だと感じましたが、いまやツァイスの10万くらいのレンズを「やっす!」と感じてしまうのです。

 

レンズマウント

カメラによって装着できるレンズは異なります。このレンズのタイプのことを「〜マウント」と表現します。

たとえばNikon FM10であればFマウントと呼ばれる形状のレンズマウントで、Nikon FやNikonのデジタル一眼と共通のマウントシステムを持ちます。デジタル向けのレンズには後方互換が無いので、中古のレンズをお勧めします。比較的安価なものから、目玉が飛び出るほど高価な名玉まで揃っています。

  • Fマウント…Nikonの一眼レフのレンズマウント。古いレンズは比較的安価。
  • Mマウント…Leica Mシリーズのレンズマウント。レンズの種類が豊富ですが、高価です。
  • EFマウント…Canonの一眼レフのレンズマウント。
  • Kマウント…ペンタックスのレンズマウント。下のM42マウントと間違えないようにしたいです。
  • Lマウント…Leicaの古いレンズマウント。ねじ込み式。Bessa Rなどが使います。種類があまりないです。
  • M42マウント…70年近い歴史を持つマウント規格。PENTAX SPなどに残っているので気をつけましょう。

レンズマウントには上記のような種類があります。購入を決めた本体に適したレンズマウントが何であるかは、ネットで調べれば大体すぐわかります。レンズマウントがわかれば、次に購入すべきレンズを選びましょう。

 

50mm単焦点レンズ一択

デジタルから入った方は、APS-Cの入門機に18-105mm/F4くらいのズームレンズがついていたことを覚えているでしょうか? これは写真を嫌いにしてしまう最悪の選択です。

初めてフィルムカメラに触れる方は50mmという単焦点レンズを選んでください。そして、F値はなるべく小さなものを選んでください。Nikonであれば、NIKKOR 50mm/F1.8Sというパンケーキレンズがあります。1万前後で入手できます。他のメーカーでも、50mmでF値が1.4〜1.8くらいのレンズは、中古であれば1万を切ることもあります。

50mm/F1.8とはなにか

50mmとはレンズの焦点距離です。この値が小さいほど画角が広い広角レンズとなり、大きくなるほどに望遠になっていきます。その中で50mmレンズというのは人間の目でみた状態に最も近い焦点距離を持った標準レンズとされます。

F値は絞りの最小値です。この値が小さいほど絞りが開かれる明るいレンズとなります。この明るいレンズは表現の幅が広く、比較的暗い場所での撮影も楽になります。50mmであれば、F3.5から前後のボケを活かした撮影ができます。

ある意味、50mmレンズは初心者にとっても入り口のレンズになりますが、その表現力の深さと使いやすさから、結局50mmをつけっぱなしになってしまうこともしばしばです。Leicaを選択すると、ほぼ50mmしか使わなくなります。

出雲・足立美術館

望遠レンズ

望遠レンズというのは画角の狭いレンズ、つまり焦点距離が大きなレンズです。
70mm〜135mmくらいのものが中望遠、それ以上が望遠で、400mmを超えると超望遠となります。

望遠レンズは人物撮影や圧縮効果を駆使した独特な撮影ができます。明るい望遠レンズであれば、極めて立体感にあふれる写真を撮ることができますが、反面手ブレに弱く、ものによっては持ち上げることも困難な重さです。焦点距離の大きなレンズは最短撮影距離も大きくなるため、撮影可能なシチュエーションが限られるため、最初のレンズには向きません。

もし望遠レンズに挑戦するなら、カメラは一眼レフが向いています。レンジファインダーの場合は被写体との距離が離れるほどに合焦がシビアになるため、実質的に135mmを超えるレンズはほとんどありません。

広角レンズ

広角レンズは望遠レンズとは逆に焦点距離が短く、画角の広いレンズです。35mm以下でいろいろな種類があります。

広角レンズはパンフォーカスで大きな範囲を一枚に収めることのできる撮影が可能で、被写体に接近するとデフォルメされた高価を生み出します。広角レンズで撮影した写真を並べると似たような雰囲気になりがちで、簡単そうで実は難しく、初心者には全く向きません。

もし広角レンズで撮影したいのであれば、カメラはレンジファインダーが向いています。一眼レフではピントの山をつかむのが非常に難しく、現像してから全部失敗していることに気づくこともすくなくありません。

 

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