FUJIFILM X-E1

フィルム押しのこのサイトでなんでデジタルカメラ?と思われるかも知れませんが、使い込むほどになじんでくる良品というものはデジタルカメラにもちゃんとあります。デジタルでフィルムのように一枚一枚を大切に撮影するスタイルを貫きたい方にお勧めの逸品です。

FujifilmがX-E1を発売したのは2012年ですが、その当時にサブ機として購入し、3年経っても未だに持ち出しが多いカメラです。使えば使うほどに、練り込まれた操作系と写りの良さを実感するデジタルカメラです。

レンズの良さ

フジノンレンズ XF35mmF1.4 Rという単焦点レンズをつけています。購入当初はフォーカス機能のファームがあまり洗練されていなくて、結構迷うことが多かったのですが、現在はかなり速く合焦するようになりました。

このレンズが35mmのくせに驚くほど明るく柔らかな描写をしてくれます。フル解放だと画面の中心から離れるほどにビネットが現れ、これだけ小さいとゆがみも酷くなりがちですが、全くその気配はありません。すべてがクリアに、素直に写ります。

ズームレンズも用意されているようですが、是非単焦点レンズか、もし冒険するだけの余裕があれば、Mマウントアダプターをつけて、Mレンズを装着することをお勧めします。

センサーの良さ

NikonやCanonと全然違うのはセンサーです。デジタルカメラの画像は極めてシャープでソリッドに写ります。ローパスレスカメラが拡がるにつれて、このカリカリ感は当たり前のものになってきています。このカメラに搭載されているX-Transセンサーの特性かもしれませんが、全体的に柔らかく写り、マゼンタ系の弱くなりがちな色がちゃんと立っています。かといってボケてるわけではなく、かなり精細な写りを見せます。とくに細かい毛の束、猫なんかを撮影するとその繊毛一本一本の表現に驚きます。

人物撮影にはCanonが向いていると言われますが、おそらく人の肌の表現はFujifilmの方がずっと自然で好みです。元々フィルムメーカーですから、どういう色を出せばフィルムに近づくのかが分かっているのでしょう。

操作系の練り込み

軽くて小さいというだけでなく、極めて手になじむ作りになっています。現代的なエルゴノミクスデザインを無視したオールドカメラのようなゴツゴツした形状ですが、シャッター速度ダイヤルは大きく、親指の位置には露出補正ダイヤルがついています。実に簡単に素早く露出補正を1/3段ずつ変更することができるのです。露出の理屈をちゃんと理解した人のために設計されており、初心者から写真の楽しさをスポイルするような高機能性はまったくありません。

この露出補正ダイヤルの横には、AF-L/AE-Lボタンがついています。実はこれすごいボタンです。普通のデジタルカメラでは、フォーカスや露出を固定するのにしか使わないボタンですが、X-E1はレンズのフォーカスをマニュアルに切り替えると、このボタンでオートフォーカスすることができます。いわゆるプロが高級フルサイズ機で使う親指フォーカスです。ワンタッチでフォーカスが実行され、合掌部分はEVFに輪郭線が現れ、マニュアル状態ですのでシャッターボタンを押し込んでも再度オートフォーカスがジージー動くことはありません。めちゃくちゃ使いやすいです。

X-E1背面

FnボタンにはISO感度の切り替えなどを割り当てて使うことができますが、ファームアップデートの際に、最低シャッター速度と自動ISO感度の設定ができるようになり、あまり使わなくなりました。

また、APS-Cサイズのカメラには珍しく水準器が内蔵されています。比較的アバウトですが、ないよりずっと有り難いです。

シャッター音とサイズ

このカメラの一番好きな部分がシャッター音です。控え目で静かな「パチコっ」という実に不思議な音がします。
このシャッター音とカメラのサイズというのは非常に重要な要素です。AH-64のガンカメラから武器に誤認されるようなフルサイズカメラを構えて機関銃のようなシャッター音を響かせることができる撮影場所は限られています。そんなデカ物を買ってしまったら、あとはコミケかシリアに出かけて地べたに這いつくばって命がけの撮影を心ゆくまでお楽しみください。

スナップ写真を撮るとき、カメラを構えても周囲に気にして欲しくはありません。そういうとき、これくらいの小さなカメラで、控え目なシャッター音が響くというのは実に合理的です。スマホの無音カメラ? スマホを掲げているだけで盗撮しようとしているのではないかという攻撃的眼差しに晒される時代です。写真を撮るときは写真を撮る動作をすべきで、なおかつそれで誰も気にもとめないことが求められます。

今買うなら

後継機のX-E2が出ています。
X-E1に比べて反応が良くなっていて、マニュアルフォーカス時に便利な機能がいくつか実装されていて、デジタルスプリットイメージなどは完全にレンジファインダーを意識した作りです。

全体的にE1の弱点を補強した形になっているので、今から買うならE2がおすすめです。


 

まだX-E1も入手可能ですが、スペック自体がそれほど変わらないのでさして安くなっていません。

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今買うならこちらがお勧めX-E2シルバークローム本体。

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併せて欲しいのが35mm単焦点レンズです。

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