Leica M3

私が初めて触れて、初めて購入したフィルムカメラです。いきなり頂点からスタートです。

Leica M3

実はこれを購入したとき、Leicaの中古品の選び方を全く知りませんでした。実際は販売しているお店に足繁く通い、色々な個体を実際に触って確かめて、細かい部分の善し悪しを見極めて、納得がいったものをようやく購入するというひどくめんどくさい手続きが必要なのです。でないとショップによってはかなり状態の悪い品を押しつけてくることがあるそうです。

購入

このカメラは銀座のスキヤカメラさんに、ネットで注文しました。全くわかってない買い方です。しかしかなり状態の良い個体が届きました。ファインダーに汚れ等はなく、二重像も見やすく、シャッター音も静かです。これは運が良かったと思うほかありません。

なんで最初にLeica M3を購入したのか、というのは答えようがありません。それ以外のフィルムカメラをよく知らなかっただけです。デジタル畑の私にとって、フィルムカメラ=Leica M3でした。正直、なんかLeicaにしては安かったし、ネットで調べても良い品だ!としか書かれていないので「ちょこっとフィルムとか嗜んでみるかな」という実に軽い気持ちで購入したと記憶しています。

本来のM3の購入方法は、実際に取り扱っている店舗に赴き、実機を手にとって

  • 巻き上げ
  • ファインダー
  • シャッター

この3つの状態を確認するところから始めます。基本的な機能面ですね。外観の傷やへこみなどはいくらでも妥協できます。

レンズ

馬鹿なので本体を購入したとき、レンズをまだ決めていませんでした。なんせLeicaのレンズは中古でも怖ろしい価格です。今でもデジタルライカに挿して使えます。数も多いですが、欲しい人はもっと多いのです。ですから、無理に純正レンズを探すのはやめて、状態に信頼がおける新品を探しました。

フォトヨドバシのRANGEFINDERにゾナーのレビュー記事が載っていて、この記事を数十回は見直してこれに決めました。いま改めてみてみると、これほとんどデジタルで撮ってますね。注文してから数日で届きましたが、ガッチリした作りに驚いた記憶があります。

実際、LeicaのMマウントレンズは名玉が多いので、中古の価格でもかなり高額になりがちです。カビやゴミなどの問題のある個体は安くなりますが、そこで妥協するなら最初は現代の工業技術で作られたコーディングレンズの方が安心できます。ツァイスやフォクトレンダーのレンズは純正に比べて安価で、写りも良いものが多いです。レビュー記事も多数ありますので、事前にじっくり調べます。

最初の50mmはレンジファインダーでは最後の50mmにもなりえますから、慎重に決めてください。周辺減光や特性が気に入らないレンズを買ってしまって後悔するのは勿体無いです。

アクセサリ

中古品のLeicaはストラップすらついていません。せっかくですから、ちょっとお洒落に見えるようなアクセサリを選んで購入しました。あと必要な品々も。

  • レンズシェード…コシナ純正です。デジタル一眼用のプラスチックのやすっちいフードと違って金属製の超頑丈なフードです。ファインダー像にちょっと被りますが、切れ込みがあるので邪魔ではありません。
  • レリーズボタン…シャッターボタンにはめ込むキャップみたいなやつです。これがないとシャッターが少し切りにくいです。
  • ケース…本体を包むタイプのレザーケースで、ARTISAN&ARTISTの高級品です。
  • ストラップ…オーダーメードで首にかける切り返しの部分で色が変えられるものを注文しました。
  • アイピース…眼鏡が傷つかないようにするためのラバーガードです。理想は眼鏡無しで撮影することですが。

Leicaのアクセサリは全部高いです。本体が安価に手に入るからとギリギリの予算で購入しないように気をつけてください。

少なくとも最初はストラップとケースは必須になります。これがないと本体を守ることができません。

Leica M3

フィルム

最初に使うには向かないと言う人も多いですが、Kodak Ekterを大量購入しました。このフィルムの発色は堪らないです。当時は一本680円前後でしたが、現在は1300円くらいまで値上がりしています。この価格ならリバーサルフィルムを使った方がいいですね。

現在はKodak GOLDやタングステンフィルムのような特殊なフィルムなども使っています。マニュアル露出だと大雑把になりがちですから、ラティテュードの狭いポジフィルムよりも、アバウトなネガフィルムの方が向いていると思います。

使用感

フィルムの巻き上げの滑らかさは甘美であり、1/500以上だとチッという信じられないくらい静かなシャッター音も素晴らしいです。

何より驚くべきことは、Leicaを使っているという優越感などほとんど感じないということです。露出計もついていない完全機械式のマニュアルカメラですが、操作はすぐ手に馴染み、自分自身と被写体の間に控え目に割り込んで小さなシャッター音を響かせるだけの存在です。M6以降の赤丸にLeicaと刻まれた露骨なロゴもありませんし、ぱっと見FujifilmのX-PRO1の後継機でも使っているかのような印象です。だれかにじろじろ見られることもありません。

Leica M3を選ぶデメリット

あたかもぼくがかんがえた最強のフィルムカメラみたいな内容になっていますが、Leica M3を選ぶにはデメリットもあることを知っておいてください。

1/1000は使えない

シャッター速度1/1000はシャッター幕がバウンドするので滅多に使えません。
太陽に焼き殺されそうな日にどうしても解放撮影をしたくなった場合、気合と根性で1/1000を選ぶ余地が残されている、と考えてください。
調整次第で使えるようになりますが、今度は他のシャッター速度が犠牲になったりするので難しいです。

レンズキャップを外しっぱなしにできない

これは布幕フォーカルプレーンシャッターのカメラ全般に言えることですが、レンズキャップを外したまま持ち歩くと、シャッター幕が焼けて穴が空きます。これを知らないとほぼ100%穴を開けてしまいます。撮影するときだけレンズキャップを外し、撮影後は閉めて、太陽の光がレンズに当たらないようにします。

年配のLeicaユーザはカメラ本体を逆向きにぶら下げていることがあります。あれは間違っているのではなく、わざとそうしています。

仕事的な撮影には使えない

言い換えれば勝負の撮影には使えないということです。今時フィルムで確実性を期待した撮影はできないですね、写っていればラッキーくらいの感覚でないと厳しいです。
普段撮り、スナップ程度のゆるーい撮影に毎週持ち出す勇気がなければ、Leicaは購入すべきではありません。徐々に持ち出さなくなり、ドライボックスの肥やしとなります。

フィルム交換がめんどくさい

バルナック型に比べれば圧倒的に楽ですが、現代のフィルムカメラに比べるとかなり面倒で時間がかかります。
またシャッター幕や本体の状態によってはシールが不完全でフィルムが感光してしまう恐れがあります。

最短撮影距離が1mもある

近接撮影ができません。物によっては0.9mとか可能らしいですが、ほとんど違わないですね。
人物を撮影するときなどに、周囲に十分なスペースが無いと撮影できなくなります。飲食店で向かいに座った人との距離は1m未満ですから、M3では撮影できないということになります。

実質50mm以外のレンズは使いにくい

50mmを超えるレンズではフォーカスを合わせるのが困難になりますし、ファインダーが50mmからしか対応していないので、35mm以上の広角レンズの場合は眼鏡突きレンズが必要になります。レンズをころころ変えて撮影を楽しむタイプのカメラではないようです。

ファインダーのバルサム切れ

ファインダーのガラス部品を接着するのにバルサムという植物性の接着剤を使っていますが、50年間メンテナンスされていない個体だと、バルサムの剥離が始まります。ファインダーを覗いて周辺が白く濁っているものは剥離が進んでいますので、しばらくすると完全に剥離して真っ黒になります。また衝撃にも弱く、本体を落とすと簡単に全部剥がれてしまうこともあります。
バルサムの貼り直しは5万円以上かかります。

Leica M3を選ぶメリット

そもそもM3を買おうと考える人に、機能性などのメリットを求める人は少ないと思います。50年以上前の機械式カメラに、現代の精密な工業技術で作られた電子式カメラに勝る機能性はありません。

0.91倍のファインダー

Bessaの等倍ファインダーが存在する以上、このファインダー倍率はすでに神話ですらありませんが、やはり両目を開けて撮影できることは想像以上のメリットになります。空中にブライトフレームが浮かぶ感覚を想像してください。

巻き上げがスムーズ

最初期の二段階式巻き上げが最もスムーズですが、全般的にM3の巻き上げはハズレがありません。

中古の国産フィルムカメラとも比較にすらなりません。古いPENTAXの巻き上げなどゴリゴリ感がすごくて壊れそうです。M4以降のLeicaも言うほど悪いものではありませんが、アイドラギアなどの設計が変わり、かなり感触の悪いものがあります。

M6より(ちょっとだけ)小さい

M6を持ってみるとわかりますが、デカイです。もはや武器です。火サスなら十分凶器になりえます。

それに比べるとM3は比較的小さいです。現代のミラーレス機に比べるとやっぱり大きいのですが、フルサイズということを考えるとやはり小さいことは良いことですね。
この僅かな差で、カメラを持って出かけるか否かが決まります。大きなカメラはどんなに愛していてもだんだん持ち出さなくなります。

露出計が無い

人によってはデメリットですが、マニュアルカメラを買おうと言う人にとって露出計など邪魔でしかありません。最初から無い方がいいですし、古いカメラの電子式露出計は製造中止になった水銀電池が使われていますから、あっても使えないことが多いです。

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