フィルムを装填する

一般的なマニュアル一眼レフ、マニュアルレンジフォーカスカメラを想定しています。
ここに書かれている以外の方法で装填するカメラも存在しますので、お使いのカメラ名で事前に確認する必要があるかもしれません。

写真フィルムについて

事前知識として、フィルムについて知っておくべきことを説明します。

フィルムは通常、パトローネと呼ばれる金属の筒に巻かれて入っており、スリットからフィルムの一部が外に出ています。
フィルムは一瞬でも光にあてると感光し、それによって結像しますから、フィルムをパトローネからずるずる引きずり出してしまうと、撮影できなくなってしまいます。スリットから出ているフィルムはリーダー部と言い、カメラのスプールに噛ませるために出ていますから、必要以上に引っ張り出さないでください。

また、フィルムは光だけでなくX線にも弱いので、旅行へ出かける際に飛行機を利用する場合、保安検査所のX線装置を通過することで、部分的に感光する恐れがあります。空港の保安検査院に「これはフィルムですからX線に通さないでください」と言えば、検査を迂回することができます。ただ、検査所を出たところで、フィルムを一つ以上ケースから出して見せ、カメラに装填されたフィルムがただのフィルムであることを証明するために、床に向けて一回シャッターを切ることを要求されます。

このフィルムをカメラに装填し、写真を一枚撮影すると、その一枚分に撮影した画が結像します。フィルムを巻き上げると、次のコマが用意されます。撮影中はカメラ本体を絶対に開けないでください。撮影済みの巻き上げたフィルムが完全に感光し、現像すると真っ白になってしまいます。つまり、36枚撮りのフィルムは36枚(37枚以上撮れることもあります)撮影を終えて巻き戻すまで、フィルムを交換することはできません。
撮影を終了すると、フィルムを総て巻き戻します。パトローネに総て巻き戻してしまえば、カメラ本体を開けて取り出しても大丈夫です。

フィルムにはISO感度というものがあります。これは光の感度で、フィルムは50、100、200、400、800のような数値が設定され、小さいほど感度が低く、大きいほど感度が高くなります。通常ISO100のフィルムは晴れた日の屋外、ISO400は室内や夜の繁華街を撮影できます。通常、数値が高いほどフィルムの粒状感が荒くなり、ざらっとした雰囲気に仕上がります。ISO感度については露出の項目で詳しく説明します。

フィルム装填方法

まずはフィルムを箱から取り出します。製品によっては紙袋にパトローネ剥き出しの状態で放り込まれているものもありますが、通常は半透明のフィルムケースに収められています。このフィルムケースから取り出すと、パトローネからフィルムのベロが出た状態のものが出てきます。フィルムケースは現像に出すときに保護するのに使えますから、捨てないでください。

一般的な一眼レフカメラ

一般的な一眼レフカメラの場合、本体左肩にクランクのついたノブがあります。これを引っ張ると後部の蓋がパカっと開きます。ツマミを回すと蓋が開くタイプのものもあります。

蓋を開いた状態で、右側の巻き上げスプールにあるスリットにフィルムの先端を差し込みます。そのままフィルムを歯車に引っ掛けながら、左側のフィルム室にパトローネをセットします。フィルムの穴を巻き上げ機の歯車にきちんとひっかけるようにしてください。少しずれていても、一回巻き上げるとちゃんと噛み合ってくれることがあります。

蓋を閉めて、フィルム巻き上げノブのクランクを回します。すこしフィルムが巻き戻され、たるみが取れます。巻きすぎないように気をつけてください。
現在の撮影枚数が表示されている小窓がありますから、それを見ながらフィルムを巻き上げて何度かシャッターを切ります。ここのカウンターが0のときシャッターが切れている状態になれば準備完了です。

Leica Mシリーズ

LeicaのMシリーズは若干特殊です。M3とM4以降でもまた少し異なり、M3の方が面倒です。

カメラ底部にOPENとCLOSEと書かれたノブがあります。これをOPEN側に半開店させて、底蓋を開きます。底蓋をあけると、裏蓋も開放できるようになります。裏蓋を開いてフィルムの装填状態を確認できます。
M3の場合、構えて右側にはフィルムを巻き上げるスプールが入っていますから、これを取り出します。M4以降にはこれがありません。

M3

取り出したスプールを逆さにして、フィルムを差し込むスリットを探します。そこにフィルムの長い先端部分をぐいっと差し込み、少しフィルムを引き出して、カメラの底から挿入します。スプールとフィルムがカチっとはまるまで差し込んでください。底部に装填方法の図がありますから、それを参考にしてください。

M4以降

フィルムを伸ばして、底部にある図のようにフィルムを装填します。隙間に挿入するだけですが、どっかにフィルムが引っかからないように注意してください。

裏蓋を開けた状態で、フィルムの穴(パーフォレーション)が歯車(スプロケット)にちゃんと噛み合っているか確認します。ズレていると巻き上げたときにグチャグチャになるので注意してください。少しずれていても、そのまま一回巻き上げるとちゃんと噛み合います。ずれていなくても、フィルムをスプールに巻きつけるために、一回巻き上げてください。

裏蓋を閉めて、底蓋を閉めます。裏蓋が閉まっていないと感光するので注意してください。フィルムの巻き戻しノブを軽く回して、フィルムのたるみを取ります。フィルムを巻き上げ、シャッターを切ります。枚数カウンタが0になるまで巻き上げシャッターを切ります。これで撮影準備完了です。

フィルムの取り出し方

撮影を終えたらフィルムを取り出します。
撮影済みフィルムと未使用フィルムは見分けがつきませんので、フィルムを巻き戻すときに「パトローネにすべて巻き取ってリードを出さない」ことで区別します。巻き戻し方はカメラによって異なりますが、大雑把には巻き戻しボタンやレバーをONにして、クランクやダイヤルで巻き戻します。

一般的な一眼レフカメラ

通常、カメラ底部に巻き戻しボタンがありますので、これを押し込みます。
巻き戻しクランクを引っ張り出し、ノブを開いて、フィルムを巻き戻します。時計回りに回します。完全に巻き戻るまではフィルムのテンションがかかっていますが、巻き上げてしまうと軽くなります。十分に巻き戻してください。

Leica Mシリーズ

カメラ全面に「R」と書かれた巻き戻しノブがあるので、これを横に倒します。
M3の場合は左肩にある巻き戻しダイヤルを引き上げて、ひねって巻き戻します。巻き戻るまではフィルムのテンションがかかっていますが、巻き上げてしまえば軽くなります。十分に巻き戻します。
M4以降の場合は巻き戻しクランクがありますから、これをぐるぐる回して巻き戻します。あとはM3と同じように十分巻き戻してください。

フィルムを巻き戻したら、装填方法同様に本体を開いてフィルムを取り出してください。
通常、フィルムを取り出すことで、巻き戻しボタンやノブは元に戻り、フィルムカウンタもリセットされます(-2の位置になります)。

取り出したフィルムはとっておいたフィルムケースに入れて保管することで、埃や湿気から守ることができます。フィルムケースをなくした場合は早めに現像に出してください。

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