フィルムカメラの基本的な使い方

フィルムカメラは量販店に売られている35mmフィルムを装填して写真を撮影します。
デジタルカメラと違い、この24枚か36枚のフィルムは使い捨てです。更に、撮影したフィルムはDPEという店舗で現像して貰います。つまり、撮影するためにお金がかかり、現像するにもお金がかかります。しかし、時代の流れに乗ってフルサイズデジタル一眼を定期的に更新するより安上がりだという見方もできます。

35mmフィルムカメラは、3つに大別できます。

  • レンズ交換式一眼レフ
  • レンズ交換式レンジファインダー
  • コンパクトカメラ

ここではレンズ交換式の一眼レフかレンジファインダーについて、まずは大雑把な説明をします。

初めてフィルムカメラに触れる人は、フィルムの装填、撮影、フィルムの交換という操作ができるか不安かもしれません。ましてや、中古カメラには操作方法についての説明書などありませんし、メーカーの保証もありません。ただ、どのカメラも大体共通する部分が多く、ひとつ覚えればよほど特殊なものでない限り操作できます。

こんな本格的なカメラでなくても、もっと簡単に撮影したいという方に、コンパクトカメラを勧めることはありません。マニュアルのカメラでも、ネガフィルムは広い許容範囲を持ちますから、ある程度の大雑把な撮影にも耐えることができますし、フルサイズデジタル一眼と同等の撮影サイズを、これほど安価で手軽に手に入れることができる選択肢を除外するのは大きな損失です。コンパクトカメラを手に入れても、必ず一眼やレンジファインダーが欲しくなります。それはAPS-Cのデジタル入門機を買ってからフルサイズ機が欲しくなるのと似ています。

一眼レフカメラと、レンジファインダー(Leica M3)でフィルムの入れ方、写真のとり方までちょっと違います。それぞれのカメラでの一般的な使い方をまとめていますが、実際の細かい使い方は機種によって異なります。中古カメラの場合は説明書もありませんから、お使いの機種名で検索して調べるか、購入したお店の方に聞いてみてください。

撮影の手順

フィルムカメラの撮影手順は以下のようになります。

  1. カメラ本体にフィルムを装填する
  2. 露出を合わせる
  3. フォーカスを合わせる
  4. シャッターを切る
  5. フィルムを交換する
  6. フィルムを現像する
  7. カメラを保管する

それぞれについてざっくり説明します。それぞれの操作や作業についての詳細は、それぞれまとめた記事を参照してください。

1.カメラ本体にフィルムを装填する

カメラ本体にフィルムを装填します。

フィルムはデジタルカメラで言うところのセンサー+SDカードにあたり、フィルムに写真を焼き付けて保存します。フィルムはロール上になってパトローネという金属の筒に入っており、カメラのシャッター幕が開いて、フィルム面に24mm x 36mmの映像を焼き付けます。この寸法分が一コマとして、撮影するたびにフィルムを巻き上げます。フィルムカメラは機構上、撮影後はフィルムを巻き上げないとシャッターが切れません。

カメラ本体の種類によってフィルムの装填方法は異なりますが、比較的新しい一眼レフの場合はほとんど同じです。フィルムを装填したら、撮影準備は完了です。

→フィルムを装填する

2.露出を合わせる

撮影する被写体、環境光に応じた適切な露出設定を行います。
露出とは、フィルムのISO感度に応じて、撮影する被写体の明るさから、適切な絞り値とシャッタースピードを選ぶことで、通常デジタルカメラでは自動的に設定してくれます。フィルムカメラでも自動的に露出を合わせたり、露出計を表示してくれるものもありますが、マニュアルカメラはデジタルカメラのように自動的に露出を合わせる機能はないと考えた方が潔いです。露出を手動であわせてこそのフィルム写真です。

→露出を合わせる

3.フォーカスを合わせる

次にカメラを構えて、フォーカスを合わせます。
ファインダーを覗いて、ピントが合うようにフォーカスリングを回すだけですが、直感的な一眼レフに対して、レンジファインダーは特殊です。一眼レフはファインダーから見たものが撮れますが、レンジファインダーは二重像をあわせることで合焦します。

→フォーカスを合わせる

4.シャッターを切る

露出を合わせてフォーカスも合ったら、あとはシャッターを切るだけです。
フィルムを巻き上げていないとシャッターは切れません。一度シャッターを切ると、次のシャッターを切るためにまたフィルムを巻き上げなければいけません。ですから、デジタル一眼のように、シャッターボタンを押しっぱなしにして連射することはできません。

では、フィルムを巻き上げる最適なタイミングは?
昔からフィルム写真を撮っている人の中には、シャッターを切ったら常に巻き上げて撮影準備を整えておく、という方も居ますが、これは巻き上げにテンションがかかりっぱなしになる上に、間違ってシャッターが切れてしまう事故も起きますので、撮影する直前に巻き上げた方がよいと思います。たくさん撮影しているうちに、巻き上げのタイミングはそれぞれつかめてくるでしょう。

5.フィルムを交換する

写真を撮り終えたらフィルムを交換します。

36枚撮りのフィルムは36〜38枚撮影できるようになっています。フィルム装填時の挿し方などによって撮影できる枚数は変わってきます。これ以上巻き上げられないときは、フィルムレバーが固くそれ以上巻き上げられなくなり、無理に巻き上げると、フィルムが千切れたり巻き上げギアが折れたりします。

フィルムの巻き戻しレバーを倒して、クランクや巻き戻しノブを回して、フィルムを元のパトローネに巻き戻します。フィルムのテンションがなくなれば、フィルムは完全にパトローネに巻き上げられていますから、カメラ本体を開けても大丈夫です。

フィルムがパトローネ内に完全に巻き上げられてしまっても、現像所ではこれを引き出すことができますので、心配する必要はありません。むしろ、撮影済みフィルムは完全に巻き戻すようにしてください。リード部分が出ていると、未撮影と撮影済みフィルムを見分ける方法がなくなります。

6.フィルムを現像する

撮影したフィルムはDPEなどの現像所に出して現像してもらいます。同時プリントを頼めば後からプリントするよりも少し安く済むことがあります。
通常のカラーネガフィルムは現像だけで650円前後、同時プリントもあわせると2,000円前後になります。同時プリントをまとめてお願いすると無料になるサービスもあります。
DPEでの現像はフィルムを出してから1〜2時間程度です。イオンなどの大型店に入っているDPEは別の現像所に出すため、後日受取になります。

ポジフィルムやモノクロネガフィルムの場合は、DPEでは現像できず、ラボ等に出すことになりますから、一週間以上かかることがあります。モノクロネガフィルムの場合は自分で現像する方法もあります。

プリントした写真は剥き出しで保管せず、アルバムに収めることをお勧めします。傷もつきませんし、長持ちします。

→フィルムの現像

7.カメラを保管する

初心者にありがちなのは、買ったカメラを本棚などに置きっぱなしにするケースです。これは今すぐやめましょう。
フィルムカメラは直射日光、高温多湿に弱く、カビが生えることがありますので、かならず簡易ドライボックスで保管してください。電源の必要な大型乾燥ボックスもあります。保管のためにお金をかけることを無駄に思うかもしれませんが、いざカビが生えたり巻き上げやシャッターに不具合が生じた時、修理やオーバーホールで出て行く出費は馬鹿になりません。

→カメラを保管する

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